汗ばむ季節の「正しいシャンプー」
気温と湿度が高くなるこの時期は肌以上に頭皮がベタつきやすくなります。頭皮は体の中でも皮脂腺や汗腺が特に多い部分だからです。ベタつきは育毛にも良くないため、「正しいシャンプー」で頭皮を清潔に保ちましょう。
頭皮に存在し、通常頭皮のコンディションを保つ「皮膚常在菌」ですが、高温多湿の時期は繁殖しやすく、増えすぎることで頭皮トラブルの原因となります。増えすぎた菌を除去し頭皮環境を良好に保つためには、シャンプー剤を使った洗髪がもっとも有効です。
頭皮の状態にあったシャンプー剤を選ぶ
シャンプーの90%は水と洗浄成分です。そのためシャンプー選びは洗浄成分がカギといえます。
年齢を重ねるなどデリケートな頭皮には不向きな洗浄成分があります。特に敏感肌や乾燥肌の場合は、角質を多く摂り過ぎてしまい、頭皮が乾燥して逆にフケを増やす原因にもなります。
洗浄成分である「界面活性剤」の特徴を知る
洗浄成分として使われている界面活性剤には主に、洗浄力が強く脂性肌向きの「高級アルコール系」「オレフィン系」と低刺激で髪や頭皮にやさしい「アミノ酸系」「ベタイン系」があり、市販のシャンプーはその4種類を混ぜて配合しています。
高級アルコール系は、泡立ちが良い半面、洗浄力が非常に強い為、皮脂が多い若年層には向いていますが、敏感肌や乾燥肌の方は頭皮のトラブルにつながることもあります。オレフィン系は、高級アルコールよりも刺激はやや弱めですが、洗浄力が強めで「高級アルコール系不使用」と謳われるシャンプーに使用されることが多いようです。
アミノ酸系は、肌や髪のもととなるアミノ酸系からつくられており、高級アルコール系に比べるとやや割高になります。ただし中には価格を抑えるために洗浄力が強めの成分をブレンドしている場合があるため、成分表示を確認しましょう。ベタイン系は、他の成分と一緒に配合されることが多く、泡立ちを良くしたり、刺激を抑えたりする優秀な成分です。
ぜひ、自分の頭皮の状態に合ったシャンプーを選び、頭皮の健康を守りましょう。
シャンプー基本4つのポイント!
シャンプーの基本は、「ていねいに洗って、しっかり洗い流す」こと。最後に肝心なシャンプーの4つのポイントをご紹介します。
①予洗いはしっかりと
「髪を濡らす」ではなく、「汚れを落とす」という感覚で、頭皮から毛先までまんべんなくシャワーを当てましょう。お湯は体温より少し高めの38度前後がおすすめです。この段階で髪の汚れの70%が落ちます。
②適量を使用する
髪のボリュームに応じて適量を使いましょう。
・ロング…500円玉2個分
・ミディアム…500円玉1個分
・ショート…10円玉1個分
③マッサージしながら洗う
両手の指の腹で頭皮全体をやさしくマッサージするように、ていねいにもみ洗いを。爪を立てたり、頭皮ブラシでゴシゴシ洗ったりすると頭皮が傷つくので避けましょう。
④すすぎ残しのないように
すすぎ不足はフケやかゆみの原因となります。シャワーでしいかり洗い流しましょう。耳の後ろや髪の生え際は、すすぎ残しやすいので要注意。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。