育毛専門医が教える 「女性の薄毛」対処法
頭皮環境に違いがある男性と女性では、抜け毛や薄毛の原因も異なります。育毛外来や皮フ科医院で多くの女性の薄毛治療にあたってきた桑名博士が、女性の薄毛のメカニズムと予防・改善のための正しい対処法を明らかにします。
脱毛治療を受ける女性は40〜80代と幅広い
我が国では男性の脱毛症患者は五百万〜一千万人以上いるといわれていますが、薄毛に悩む女性もほぼ同数いると考えられます。ただ、桑名皮フ科で薄毛の治療を受ける男性患者は30代、40代が多いのに対し、女性患者は40代から80代と幅広いのが特徴。女性の薄毛は、遺伝だけでなくさまざまな要因が関係しているケースもあります。
そのひとつが、過度のダイエットです。極端に食事を減らしたり同じような食品ばかり食べ続けたりすると、髪が育ちにくくなります。また、髪をきつく引っ張るようなヘアスタイルを長期間続けることも脱毛の要因となります。
女性の脱毛症は大きく分けて3パターン
女性の脱毛症は、大きく分けて三つのパターンがあります。
一つ目は、日本人女性にもっとも多いとされる女性型脱毛症。遺伝的に薄毛になりやすい体質の人が女性ホルモンの影響を受けることで、毛髪が太く成長しないまま抜けてしまい、徐々にボリュームダウンして薄く見えてきます。
二つ目は、慢性休止期脱毛症。内科的病気や薬剤による脱毛、大きな病気の後で起こるストレス性脱毛などで、疾患そのものを治療することが先決となります。
三つ目は、60代半ば過ぎから起こる加齢性脱毛症。程度に個人差はありますが、頭髪全体が細くなるのが特徴で、しだいに地肌が見えるようになることもあります。
これらは単独で起こることもありますが、いくつかのタイプを併発することもあります。
女性の薄毛は男性よりも予防・改善しやすい
女性は男性に比べて著しい脱毛ではないため、科学的根拠のある育毛剤で毛髪をつくる細胞を活性化させることで、予防・改善効果が十分期待できます。
ちなみに、40代以上の女性を対象とした育毛剤による効果検証では、年齢による有意差はみられませんでした。すなわち60歳以降でも、若い世代とほぼ同等に育毛効果が期待できるといえます。
「高齢だから」とあきらめず積極的に育毛に取り組むことが、薄毛改善への近道といえるでしょう。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。