2019.05.15

育毛剤の働きについて学びましょう

育毛剤の働きについて学びましょう

血行を促進して毛根の働きを活性化する育毛剤

抜け毛を予防・改善し、発毛を促進するためには、ヘアケアや生活習慣の見直しに加え、育毛剤の使用も有効な手段の一つです。育毛剤とは、読んで字の如く、“毛を育てる”すなわち毛髪の成長を促進する外用薬のことです。育毛剤には、頭皮を正常に保ち、血行を促進して毛根の働きを活性化させるための成分が含まれています。
その成分の中には、植物から抽出したもの、化学的に合成したものなど、いろいろな成分があります。育毛剤の多くは、それらの成分をいくつか組み合わせてつくられています。

育毛剤の主な成分

◎細胞賦活剤
毛母細胞や毛根細胞に直接働きかけて、細胞分裂を活性化し、育毛を助ける。

血行促進剤
毛細血管を拡張することにより、血液量を増大させ、毛乳頭への栄養補給を多くすることで毛髪の成長を促す。育毛剤のほとんどに含まれる成分。

消炎剤
毛髪の成分に悪影響を与える雑菌の繁殖を防いだり、頭皮の炎症を抑えたりする。

保湿剤
頭皮の乾燥を防ぎ、頭皮をやっわらかくして、育毛環境を整える。

育毛剤の効きを良くするには頭皮を清潔に保つこと

育毛剤の効果を最大限に得るには、頭皮の清潔が最大のポイントです。汗や皮脂で毛穴が詰まった状態で育毛剤を使うと、育毛剤が十分に浸透せず効果が半減するからです。しかし、洗髪後やブラッシング後の清潔な状態であれば、毛穴の奥まで育毛剤が浸透し、毛根に栄養を届けることができます。頭皮を清潔に保とといっても、1日に何度もシャンプーをする必要はありません。洗髪のしすぎは皮膚障害の原因にもなります。極端に汚れていなければ2日に1回程度に。ただし、気になる方は毎日でもかまいません。
シャンプーのときには必ず事前にブラッシングをていねいに行うなどして、頭皮の汚れを落ちやすくしてください。

同じ育毛剤を少なくとも半年~1年は続けること

髪のヘアサイクルを考えると、育毛剤は同じものをある程度の期間(半年~1年間)継続して使用することが望まれます。中断したり使用回数を減らすと、効果を期待できにくくなります。長期間続けるためには、やはり自分に合った育毛剤を選ぶことが重要です。匂いが気に入るものや、使用感のよいものを選びましょう。
紫外線や夏バテなど、これから髪と頭皮にストレスがかかる季節がやってきます。それらに負けないためにも、育毛剤は正しくしっかり続けていただきたいものです。

Q. 暑いときに育毛剤を使うと、汗と一緒に額に流れてくるのですが…

A. タオル地などでできたヘアバンドをしたり、生地の厚いタオルでターバンをしておくと、額に液が流れてくることなく使えます。また、頭皮に汗がにじんでいるときは、あらかじめ頭皮の汗をふき取ってから育毛剤を使うようにしましょう。

Q. とくに夏場は、育毛剤をつけると髪がベタつきます。どうしたらいい?

A. 育毛剤をつけた後、ベタつきが気になる部分をドライヤーなどで完全に乾燥させると気にならなくなります。そのとき、根元を持ち上げて髪の毛だけにドライヤーを当てるのがコツ。こうすると頭皮への育毛剤の浸透を妨げません。ただし、ドライヤーはあまり髪に近づけないように注意してください。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。