2019.07.24

【博士の育毛診療日誌】夏のダイエットで加速した脱毛

【博士の育毛診療日誌】夏のダイエットで加速した脱毛

女性型脱毛症・慢性休止期脱毛症 年齢:36歳 性別:女性

昨年の5月から8月の間にダイエットをされ、4か月で22kgも体重を落とされたMさん(36歳)。
1か月で5.5kgもの減量ですから、かなり過酷なダイエットだったと思われます。しかも、運動ではなくすべて食事制限によるものだったとのこと。栄養バランスも相当乱れていたのではないでしょうか。
そしてダイエット開始から5か月を過ぎた頃、脱毛が急に目立ってきて、さすがに危機感を感じられたそうです。

過激なダイエットが脱毛を加速させる

一見したところ、頭頂部を中心に脱毛があり、やや頭皮が透けて見える状態でした。
さらにマイクロスコープで見てみると、軟毛化(細く短くなる)した毛髪が多く見られるだけでなく、
本数も減っています。毛髪の軟毛化は遺伝による女性型脱毛症特有の症状です。

一方、脱毛は成長期の髪が突然何らかの原因で休止期に移行する慢性休止期脱毛症の症状。
つまり、そもそも髪が細くなっていたところに、急激なダイエットをしたため、脱毛に拍車がかかったものと推察されます。

バランスの良い食事と育毛剤で髪を育てる

受診された時点ですでにMさんはダイエットを止めておられたので、体重がある程度安定すれば脱毛は軽快すると思われます。また、頭皮に栄養を与える意味で育毛剤の外用をご指導しました。
肥満予防は大切ですが、栄養不足では髪は育ちません。過剰なダイエットにはくれぐれも注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。