【博士の育毛診療日誌】髪の本数が減少する休止期脱毛症
女性の脱毛症にはいくつかのパターンがありますが、今回は「休止期脱毛症」についてお話ししましょう。
ヘアサイクルの乱れにより脱毛する休止期脱毛症
髪の寿命は女性の場合4~6年であり、一定のヘアサイクル(毛周期)で、成長期→退行期→休止期を繰り返しながら生え変わっています。
ところが、体全体の要因により、成長期にある髪が急速に休止期に入り脱毛を生じることがあります。これが休止期脱毛症です。
休止期脱毛症は、最もポピュラーな女性型脱毛症のように軟毛化(細く短い毛になる)するのではなく、本数が減少するのが特徴です。
原因は薬の副作用・ストレス・ホルモンバランスなどさまざま
このタイプの脱毛症には、内科的病気や薬剤の副作用による脱毛、大きな病気の後で起こるストレス性脱毛、女性ホルモンが関与する分娩後脱毛などがあります。いずれの場合も、原因が改善されれば、徐々に脱毛は治まってきます。ちなみに、薬剤の副作用による休止期脱毛の場合、薬剤を投与してから脱毛が生じるまでに2~4か月の期間を要するため、薬が原因であると気づかないことが多いようです。
薬が原因の場合は治療終了後に育毛剤で栄養補給を
脱毛を引き起こす薬剤には、抗がん剤や骨粗しょう症の治療薬などがありますが、最も危険なのは自己判断で薬をやめてしまうことです。病気の治療に支障が生じる場合があるため、必ず医師の診断を仰ぎましょう。もちろんそれ以外でも、髪の本数が極端に減ってくるなどの症状があれば、すみやかに皮膚科を受診して原因を解明し、医師の指導を受けてください。なお、回復期には育毛剤の外用で頭皮に栄養を与え、ヘアサイクルの正常化をサポートすることをお勧めします。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。