抜け毛の秋に「食べて」育毛力アップ!
秋の抜け毛は生理的な現象ですので、抜け毛をなくすことはできません。しかし、髪も含めた私たちの体は食べたものでできていますから、食生活に気をつけることで健康な髪を育てることは可能です。そこでこの時季、髪のために特に意識して摂りたい栄養について、ご紹介します。
バランスの良い食事を
ある食品だけを食べたからといって、抜け毛が減ることはないということです。基本的には、体に必要な栄養素であるたんぱく質、炭水化物、脂質の3大栄養素を中心に、ビタミン・ミネラルをバランス良く摂ることが、髪のためにも重要なのです。
髪を構成する「含流アミノ酸」
私たちの体を構成しているのはたんぱく質ですが、髪において特徴的なのが、硫黄を多く含んだアミノ酸で構成されているということです。このアミノ酸を「含硫(がんりゅう)アミノ酸」といいます。含硫アミノ酸は体内で合成できないため、食事で積極的に補うことが大事です。
この含硫アミノ酸を多く含む食品が、今が旬のサンマやアジ、イワシなどのいわゆる大衆魚です。また、脂の少ない鶏のささみやフィレ肉、大豆製品も良いでしょう。ですからこれらの食品を積極的に取り入れながら、さまざまな食品をまんべんなく食べることが理想といえます。
髪を育てるビタミン・ミネラル
3大栄養素に加え、髪にはビタミンやミネラルも重要であると述べましたが、ほとんどすべてのビタミンが髪の成育に関わっています。なぜなら、アミノ酸からたんぱく質をつくるとき、ビタミンの力なしでは合成できないからです。
例えば、ビタミンB2、B6が不足すると皮膚に炎症が起こりやすくなったり、フケが多くなり髪の生える条件が悪くなったりします。またビタミンBは、血液の栄養分の運び役である赤血球をつくる大事な働きをします。ビタミンEも、血液の循環を良くして毛母細胞に栄養分を送る働きを助けます。
秋は食べ物がおいしい季節でもあります。旬のものをバランス良く食べるとともに、頭皮の血行を促す頭皮マッサージや育毛剤での栄養補給などを実践し、抜け毛の予防に努めてください。
ひとくちコラム…健康な髪や頭皮を保つには、保湿も重要
頭皮も髪も、ケラチンというたんぱく質でできていますが、ケラチンには、水分が不足すると硬くもろくなる性質があります。健康な頭皮の水分量は15~20%、同じく髪は11~13%ですから、いずれも水分の補給が重要です。とくに髪をつくる頭皮にとっては、その水分が蒸発しないようにすることが大切で、例えば1gで6ℓもの水分を保持するヒアルロン酸など、優れた保湿剤が必要となります。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。