2021.03.03

髪のボリュームダウンの原因と対策

髪のボリュームダウンの原因と対策

髪の毛も体の一部ですから当然、加齢によって老化現象が起きてきます。その一つが、髪のボリュームダウンです

年齢を重ねると毛細血管が衰えて、髪をつくっている毛乳頭へ栄養を十分届けることができなくなり、髪が栄養不足に陥ってしまいます。その結果、1本1本の髪が太くなりきらずにやせて細くなり、全体のボリュームがなくなっていくのです。なかには、頭皮が薄く透けて見えるケースもあります。

女性の髪は、70代になると20代の頃と比べ、約27%細くなるといわれています。その大きな理由は「加齢による体の衰え」です。歳をとるに従い皮膚の水分を保持している天然保湿成分(NMF)やコラーゲン、ヒアルロン酸などが減少するため、頭皮が乾いて硬くなり、髪が育ちにくくなるのです。


試しに、耳の上あたりの頭皮を親指と人差し指でつまんでみてください。つまんだときの皮膚の厚さが1㎝以下だと、頭皮が硬くなっている可能性があります。

髪の毛が細くなるのは加齢による自然現象ですから、これを完全に昔の太い毛に戻すことは難しいといえます。しかし、毛乳頭に十分な栄養を与えることで、老化を遅らせることは不可能ではありません。

ポイントは食事と保湿と頭皮マッサージ

毛髪の材料を補給する意味から、1日に必要なたんぱく質 55~75gのうち、3分の1は脂肪の少ない魚や肉、大豆製品で摂ると良いでしょう。これらの食品には、毛髪の主成分である含硫アミノ酸が豊富だからです。

酵素の多い食品も、髪や体のアンチエイジングには有効です。酵素の働きを助ける補酵素のビタミンやミネラルなども欠かせません。

ただし、栄養素はバランス良く摂ることが大事ですから、同じものばかり食べるのではなくいろいろな食品をまんべんなく摂るようにしてください。

硬くなった頭皮をやわらかくするには、保湿とマッサージが重要です。頭皮マッサージには頭皮の血行を促して、毛乳頭に栄養を届けやすくする効果があります。頭皮マッサージはできるだけ毎日の習慣にしましょう。ただし、ゴシゴシこすると頭皮や髪を傷めてしまうので注意しましょう。

 

ボリュームダウンを食い止めるには育毛剤の使用を

育毛剤の使用も、頭皮マッサージ以上に効果的です。育毛剤には、血行を促進する成分や髪の栄養となる成分が配合されています。食事で栄養を摂るのと同じように、基本的には毎日、朝晩、適量を使うことをおすすめします。

 

頭皮マッサージと併せて使用すると血流が促進され、いっそう毛乳頭に栄養が供給されやすくなります。育毛剤の目的は、丈夫な髪を育て、できるだけ抜け毛を減らすものです。効果がすぐに目に見えて出るわけではありませんから、あせらずにコツコツ継続することが何より大切といえます。


歳は年々重ねていくものです。すぐに効果を実感しなくても、育毛剤を使用するか否かで、将来的に大きな差が生じてきます。研究機関などで効果が検証されているもの、ご自分の髪質に合ったものを目安に選び、じっくりお使いになってください。

 

ひとくちコラム-60代以降は、一気に髪が細くなる⁉

日本人女性の髪の毛の太さの実態調査によると、もっとも髪が太いのが20歳代前後で直径0.085mmとなっています。それから年齢が上がるごとに細くなっていき、50歳代では0.074mm、60歳代では0.072mm、70歳代では0.062mmと一気に細くなっていきます。

髪のボリュームダウンを加速させないために、早めの対策を心がけましょう。

 

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。