育毛シーズンの注意点「春の紫外線ダメ―ジ」
日差しにまだ柔らかさがありますが、ぐんぐん降り注いでくる紫外線。顔の2~3倍の紫外線を浴びるといわれています。
そこで今回は、頭皮の紫外線ダメージと対処法についてご紹介します。
年齢を重ねた頭皮は特に注意が必要
私たちの頭皮は、角質層、表皮、真皮、皮下組織の4つから成り立っています。この構造自体は顔などの頭皮と同じですが、大きく違うのが水分量です。
頭皮は他の部位の皮膚に比べ、角質層の水分量が少なく、乾燥しやすい傾向にあります。また、年齢を重ねると皮膚のうるおいを保っているセラミドなどの細胞間脂質が減少するため、頭皮の乾燥がいっそう進行します。
こうした状態の頭皮に紫外線が当たると、事態はますます深刻に。角質層がダメージを受けて保湿機能が低下し、著しく乾燥することになりかねません。
紫外線を浴び続けると脱毛の可能性も
紫外線を浴びて頭皮が乾燥すると、フケやかゆみなどのトラブルが発生しやすくなります。しかし、影響はそれだけではありません。直射日光を浴びると、皮膚を外的な刺激から守っている角質層のバリア機能が低下し、混入した刺激物によって髪を育てる頭皮の組織がダメージを受けてしまうのです。
さらに、紫外線を繰り返し浴びると、皮膚の弾力とハリがを保つエラスチンやコラーゲンなどの組織が破壊されて頭皮の弾力が低下。その結果、血行不良で髪に栄養がスムーズに運ばれず脱毛につながる可能性もあります。つまり紫外線は、髪の生育にさまざまな悪影響を及ぼしかねないのです。
育毛剤による保湿と日差しのガードが大切
紫外線による乾燥から頭皮を守るには、顔と同じように保湿ケアが重要です。保湿成分を配合した育毛剤などで頭皮をうるおし、血行をよくする頭皮マッサージも行いましょう。
なお、薄毛の人は直射日光を頭皮に受けやすいので、お出かけの際には帽子や日傘の使用をおすすめします。
また、分け目も日焼けしやすい部分です。外出が多い人は、日によって分け目を変えるのも有効です。
Q.頭皮が日焼けしたときの対処法はあるの?
A.刺激を与えないよう育毛剤の使用やブラッシングは控えましょう。
頭皮に赤みが出ている場合、皮膚が刺激に敏感になっているため、本来かぶれないものにかぶれる可能性があります。育毛剤の使用は、赤みが引くまで控えましょう。
シャンプーは洗浄力の強いものを避け、洗髪はぬるま湯か水で行うこと。ブラッシングもしばらくは控えた方が無難です。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。