2021.05.26

脱毛の原因となる梅雨時の頭皮トラブル

脱毛の原因となる梅雨時の頭皮トラブル

湿度が高くなる梅雨時は、頭皮のトラブルが多発する時季です。当然、育毛環境が悪化すると、髪の生育に影響が出てくる可能性もあります。住まいに湿気対策が必要なように、頭皮にも万全の湿気対策を行いましょう。

 

バリア機能が低下しかゆみや炎症が起きる

私たちの皮膚(頭皮)には数百種類もの「皮膚常在菌」が棲んでいます。皮膚常在菌には、大きく分けて「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」の3つのタイプがあり、これらがバランスよく存在することによって皮膚のバリア機能が保たれています。

ところが高温多湿のこの時季は、皮脂の分泌が盛んなため、これを栄養源にして皮膚常在菌が増殖し、菌のバランスが崩れやすくなります。とくに日和見菌が増殖すると悪玉菌に変化するため、結果的に悪玉菌の割合が増えることになるのです。
梅雨時にかゆみや炎症などの頭皮トラブルが増えるのは、こうした皮膚常在菌の増殖によるものです。

 

汚れが毛穴に詰まりやすく脱毛に発展することも

梅雨の時季は、過剰な皮脂に加え、雨に濡れたり湿気を含んだ空気にさらされることが多いため、頭皮が不衛生になりがちです。

皮脂や汗でベタついた頭皮に雨や大気中の汚れが付着すると、毛穴が詰まったり、皮脂汚れが酸化したりして、ますます頭皮の環境が悪化し、ふけやかゆみなどのトラブルが頻発する恐れがあります。こうした症状が進行すると皮膚に炎症が起こり、脱毛につながることもあるので注意が必要です。


また、毛穴の詰まりによって育毛剤の浸透が悪くなることがあります。そのようにならないためにも、日頃から頭皮を清潔に保つことを心がけましょう。

 

清潔第一を心がけ紫外線対策も忘れずに

頭皮を清潔に保つには、一にも二にも洗髪です。毛穴汚れや増え過ぎぎた皮膚常在菌は、シャンプーで簡単に洗い流すことができるので、この時季はとくに丁寧な洗髪を心がけましょう。シャンプーをしない日は、お湯洗いだけでも結構です。

 

また、紫外線を浴びると、毛穴に詰まった皮脂汚れが酸化しやすくなります。梅雨の晴れ間の紫外線は思った以上に強烈です。梅雨だからと油断せず、日傘や帽子で頭皮の紫外線対策をしっかり行いましょう。


なお、頭皮のかゆみや炎症がひどい場合には、すみやかに皮膚科を受診されることをおすすめします。

 

梅雨時の頭皮トラブル予防策

シャンプーを念入りにシャンプーをたっぷり泡立て、指の腹で頭皮をやさしくマッサージするように丁寧に洗うのがコツ。

 

こまめなブラッシング

頭皮や髪の汚れを取り、皮脂を髪に行き渡らせるブラッシングもおすすめ。

 

※ただし、頭皮にかゆみや炎症があるときは避ける。

 

頭皮の風通しを良くする

帽子をかぶるときは、湿気をこもらせないよう、時々脱いで髪を手ぐしでとかして風通しを良くする。

帽子はUVカットした麻やシルク、通気性の良い天然素材のものを!

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。